こんにちは、カッツプロダクション代表のカッツです。今回は作業の一環として人間が書いた手書きイラストの再現がAI(Geminiさん)にできるか実験してみました
先に結論を言ってしまいますが、うまくいきませんでした!!
ただ、失敗の過程でひとつ面白い発見があったので、そのあたりも含めて記録しておきます。
目次
実験のテーマは人間が描いたタッチをAIで再現できるか?
今回の実験の目標はこれです。
「人間が色鉛筆・クレヨンで描いたイラストのタッチを、AIがそのまま再現できるか?」
ベースとなるイラストは、秋田県・横手市のフルラボ代表加藤様に協力いただいて、実際に手書きで描かれたイラストをスキャンして素材として使わせていただきました。加藤様、ありがとうございます!!
My Gem(Geminiカスタム)にサンプルを読み込ませてみた
今回使ったのはMy Gem(GeminiのカスタムAI機能 ※使い方は巷に出まくってるので割愛します)です。目指すクオリティのイラストサンプルを複数読み込ませて、「このタッチで描いて」という形でオーダーできる仕組みを組みました。
方針はこんな感じです。
- 加藤様のイラストをスキャンしてサンプルとして投入
- 「色鉛筆・クレヨンで描いたふう」というタッチの再現を指示
- プロンプトでスタイルをできるだけ細かく指定
AIは「手書き感」が再現できない、、、プロンプトと出力例
これ2026年現在の状況なので日進月歩のAIさんまた変わる気もしますが、、、
実際のMY Gem設定がこちらです。

実際に利用したカスタム指示の内容サンプル
2~3時間くらい睨めっこ調整でこんな感じになりました。
# クレヨン調画像生成 ## 生成前に必ずやること 1. 参照画像(知識に添付してる`いちじくイラスト.png`・`りんごクレープ.jpg`)を見てテイストを記憶する 2. NGパターンを確認して頭に刻む ## 参照画像から抽出すること - クレヨンのザラザラ・かすれ感 - 色のムラ・不均一さ - 輪郭線の重ね描き - かすれたブルーの使い方 ## NGパターン(絶対禁止) - 均一・硬い輪郭線(定規で引いたような線) - 隙間なくベタ塗り(紙の白が透けていないもの) - 完全対称の形状 - 白い正円ハイライト - 紫グラデ背景 - **参照画像(知識に添付してる `みかん.png`・`りんご画像.png`・`スイカ.png`)のような「整いすぎた色鉛筆風」= AI臭い** - きれいすぎる色(濁り・混色感がないもの) - 背景色は絶対に#fff(ベージュ色は禁止) ## 線の描き方(最重要) - 線は**太め**にする(細い均一線は禁止) - 線に**強弱・よれ・かすれ**を必ず入れる - 輪郭の終わり方は**開放的**にする(きっちり閉じない) - 線を2〜3本ズラして重ねてクレヨンの筆圧を表現する ## 塗りの密度(最重要) - 塗りの密度は**低め**にする - **紙の地色(白・ベージュ)が随所に透けて見える**こと - べったり塗りつぶすのは禁止 - クレヨンのストロークの隙間から下地が見える状態が正解 ## 出力形式 - ビットマップ画像(PNG)で出力すること - SVGは使わない - 解像度は1280×960px推奨 - 外部ライブラリ・外部ファイル不使用 ## 描画要件 - クレヨンで描いたような粒子感・ザラザラ感を表現する - 色は均一にせず、ムラ・かすれ・濁りを意図的に入れる - 形状は意図的に非対称・手ブレを入れる ## カラーパレット - メイン: 黄緑がかったイエロー + 影にオレンジ・赤 - ヘタ: 黄緑〜深緑 - アクセント: かすれたブルー - 色は混色感・濁りを持たせる(純色・鮮やかすぎる色は避ける) ## 彩度の指示 - 彩度は**やや高め**にする - くすみすぎ・グレー寄りの出力は禁止 - 「鮮やかだけど絵の具っぽい濁り感がある」状態が正解 - パステル調や水彩っぽい淡さにならないこと
知識に入れた画像
知識にサンプルデータを入れ、いわゆる「Few-shot(追加の例示でお手本を学習させる)」的なアプローチ設計にしました。





デフォルトチャット状態の出力画像
参考としてカスタム指示をいれないデフォルトの状態です。めっちゃAIですね。

カスタム指示+知識を入れた状態の画像出力
Geminiさん調整のために時々カスタム指示を調整するとそれをスルーすることがあることが判明、
テストスレッドを作った時点で「カスタム指示を更新してるので必ず読み込んでください」と指示をいれました。
そして「バナナ イラスト カスタム指示や参考画像もちゃんと読み込んで生成してください」と強めに指示を
ここから出力画像をお楽しみください




出てきたものが、、、いい感じなんですが、、、自分から見るとやっぱAIぽいってなっちゃんうんですよね(笑)。輪郭がうますぎる、あと人間が色鉛筆やクレヨンで塗った「あの感じ」が全然出ない。
「あの感じ」の正体はAIの出力を下絵にして人間がなぞる事が正解だった
「うーむ、なんとなく分かってはいたが、やっぱりうまくいかないな〜」と出力を眺めていて、ふとひらめいたんですよ。
AIが出したアウトプットを下絵にして、人間がなぞればいいんじゃね?!
これがうまくいきました!! AIが生成した「構図・配置・大まかな形」を下絵として使って、その上から手書きでなぞって仕上げる。AI+人間の役割分担として、これはアリな使い方だと思います。
AI単体では「手書き感」が出せない。でも「下絵を作る」という工程はAIが得意なんですよね。そこに人間が手書きのタッチを乗せていく、というワークフローが現時点では現実的な落とし所だと思いました(AIで出力ならトレース問題を回避できるメリットもありますね)。
ここからAIと人間の共演をお楽しみください
人間の良さを言語化するなら
- 下手うまのバンス感覚が心地よい
- 独特の心地よいグルーブ感


「AI感を消す」はFew-shotでも無理
「プロンプトをもっと工夫すればAI感を消せるんじゃないか」と思って、かなり細かい指示を試しました。結論から言うと、、、無理でした。
- 「デジタル感を排除して」→ 無視される
- 「輪郭線をガタガタにして」→ 少しガタガタになるが結局きれい
- 「色鉛筆のテクスチャを再現して」→ なんかそれっぽいテクスチャが乗るが全体的にAI感
- サンプルをFew-shotアプローチで投入→ 方向性は近づくがAI感は消えない
AIは「手書き風のイラスト」は得意なんですよ。でも「本物の手書きと見分けがつかないレベル」まで持っていくのは、2026年6月時点ではまだかなり難しいという結論になりました。
これ、逆に言うと「人間が手書きで作ったものの価値」はまだちゃんとある、ということでもありますよね〜
AIで構図、人間で仕上げが現時点の最適解
- サンプル大量投入のFew-shotアプローチ→AI感は消えない
- 「AIの出力を下絵にして人間がなぞる」というワークフローは→うまくいった!!
- AI感の完全除去は2026年6月時点ではまだ無理という結論かも?!
- 「AIで構図、人間で仕上げ」の役割分担が現時点の最適解
ん?! 結局これって、いつも言ってる「AIは使う人のスキルに左右される」と同じ話なんですよね(バナー記事でも言及してた)。AIが出した素材をどう活かすか、どこに人の手を入れるか、その判断力がそのままアウトプットの質に直結する。ツールが進化しても、この本質は変わらないんじゃないかと思ってます。
あと、これを実験しながら思い出したことがあって。音楽やアート系のコンテンツで「AIに〇〇してみた」と公言しているもの、クオリティー高いのは実は相当な人手が入っているると思われます。AIがたたき台を出して、そこに人間が手間をかけて仕上げている状態。今回の「AI下絵+なぞり」とやってることは本質的に同じで、まさしく「AIですよ」と言いつつ実は人間の手が相当入ってるというパターンが、アート・音楽・動画界隈でよく見られる現象と一緒です。 ちなみに自分のバンド・ピラミッドスの音源制作でも実際にこのやり方でやってるので、絵空事じゃないですよ(利用したのはAIマスタリングですが)。